病院に入院したことが彼女との出会いの始まりだった

病室

私が20代前半の頃、肺気胸になってしまい入院しなければいけないことがありました。肺の気胸は若くて背の高い男性に起こりやすい症状で、症状にもよりますが2週間前後の入院を必要とします。肺が苦しくなる症状なので一時は深刻に考えてしまったのですが、適切な治療をすれば元通りに回復するとわかったので、医師の指示に従い入院することになりました。

「肺気胸になってしまうなんて何て不運なんだ」と落ち込んだ気持ちで入院生活に突入した私ですが、入院してから「そうでもなかったのかも」と思うような出会いに恵まれました。それは、その当時新米看護師として働いていた彼女との出会いです。

彼女は看護師の仕事に明らかに慣れておらず、私と対応している時も緊張感たっぷりでした。そんな姿を見ていたら「この看護師さんは大丈夫なのかなあ」とだいぶ不安になったのですが、心配で何となく声をかけたのが付き合いの始まりでした。

彼女は「すいません、まだ慣れてなくて」と申し訳なさそうに言いました。ただ、仕事に向かうその真摯な態度に心を打たれた私は、彼女のことを少しずつ好きになっていきました。それからは、彼女が休憩の時一緒に話すことが多くなったのです。

また、彼女は私と同じく読書が趣味で、入院中に読んでいた小説のことでも盛り上がりました。肺気胸は肺の治療はするものの、それ以外は元気です。恋愛パワーが体の内側からメラメラとわきあがり「彼女と何とか付き合えないだろうか」と考えをめぐらせました。

入院してから2週間ほど経って無事退院するとなった時、彼女と連絡先を交換することができました。そして、退院後に私から改めて告白し、付き合うことになったのです。まさか私が看護師さんと付き合うことになるとは、入院した時は夢にも思っていませんでした。彼女としても仕事への不安を聞いてくれる医療とはまったく関係ない人が、欲しかったのだと思います。

病院が出会いの場というのもなかなかないことだと思いますが、結果的には「災い転じて福となす」だったのかもしれません。肺気胸になってしまったのは残念でしたが、彼女と出会えたことには今でも感謝しています。